「Freude フロイデ 兄弟よ!!

昨年末のユニバーサルコンサート(※)では、知的障害者で結成れたブリューデル合唱団が、プロの管弦楽団・合唱団と一緒にベートーヴェン「第九」の舞台で歌いました。
誰一人飛び出すこともなく、市民合唱団ですらこの短期間では成しえなかったことを、本当に良くやったと賞賛を送りたいと思います。
出演者は「やり遂げた」という達成感を、そして、スタッフ、お客様、それぞれが「第九」の余韻を感じて、年末年始を迎えられたことでしょう。
私は人にサインを求められたとき「音は人なり」という言葉を書くことがあります。意味は言葉のとおり、音楽は人が奏でるものであり、その人の人間性が音になるということです。
ブリューデル合唱団のメンバーの努力と意欲は見事に音となり、歌となりました。参加者の自己満足にとどまらず、多くのお客様に感動を与えることができました。私はこのコンサートが決まった時から、「絶対に出来る」と確信していましたし、そうならないのなら取りやめる覚悟でいました。どうせ障害者の合唱団だからといって諦めて演奏することは、芸術を単なるイベントに格下げすることになるからです。
私のこうした考えに、ユニバーサルコンサート組織委員会、及び指導の先生方が一致団結してこの難曲に取り組んでくださったことに頭が下がる思いです。きっとベートーヴェンも喜んでいると思います。
私は、恥ずかしながら知的障害についての知識は無に等しいといえるでしょう。また、可能性の限界も知りません。しかし、現状に満足することなく、弛まぬ努力をする謙虚な「こころ」を持ち続けるならば、この「第九」のように、きっとまだ見ぬ素晴らしい世界を手に取ることが出来ると信じております。それは障害者を導く人たちの勇気とチャレンジする信念にかかっているのではないでしょうか。
そして私は、このコンサートが成功裏に終ったことに決して満足しているのではなく、ひとつのステップとして、彼らの力がもっと高い頂に登ることができると確信しております。
宇宿 允人
※2006年12月27日の公演のこと。