そして弦楽器の場合は二人で一冊の楽譜を見るが、「宇宿允人の世界」では、一人一冊という世界でも類を見ない方法を取っている。
よって、楽譜をめくる時に音が無くなってしまわないよう計算をして切り貼り(写植)をしなければならない。
紙は特注サイズでコンサートホールの照明に照らされても反射しないよう目に優しいクリーム色を注文する。
コピーの後は、宇宿が振り分けた練習番号、ニュアンス(クレッシェンド・強弱記号)などを書き込む。
ニュアンスを書き込む作業は多いときで100冊。大曲やモーツアルトのようにほとんどニュアンスが記されていない楽譜になると大変である。ここで費やす時間ははかりしれない・・・。
目の開いている時は常に机に向かっているといっても大袈裟ではない。
そんなに大変なら誰かが手伝えば?というのはごもっともな意見なのですが、宇宿の頭の中にある音楽が記号として記されるので到底手伝うなんて出来ない・・・。
お手本を書いてもらい移すことも可能だが、宇宿独特の花文字と配置感覚は真似できない。いや努力が足りないのかもしれないが熟練技が必要である。
わざわざ赤青鉛筆で手書きにする理由は、印刷の記号よりも肉筆だとそこにより注意が行き届き視覚から受ける印象が違ってくるから。確かにその通りである。
楽譜に対する心配りには驚かされる。